一枚岩になれない観光振興策

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北木西公民館主事の友野は、新聞配達の仕事と島の観光施設受付の仕事もしています(兼業は市へ届け出済み)。本日は、観光施設に新しいスタッフさんが入ってきました。

新しく入ってきたのは、はるばる岩手県から笠岡市に引っ越してきたSさん。ご主人の実家が愛媛県今治市ということで、「介護に備えて義両親の近くに引っ越した」とのことです。Sさんの前職は「岩手県の田舎で公民館主事」ということで、同職同士ということもあり、島の話で盛り上がりました。

岩手県陸前高田市の「軌跡の一本松」。画像はWikipediaより

北木島を含む笠岡諸島は日本遺産に選ばれ、市(と北木の一部の業者さん)としては島の観光に力を入れたいところですが、その動きに快く賛成できない人も存在します。

高齢化率が70%を超えている北木島金風呂地区においては、年金暮らしのお年寄りも多く、観光で地域経済を活性化させるモチベーションにムラがあるのが現状です。

かと言って、このままでは島での暮らしもジリ貧になっていくのも事実。例として挙げれば、人口が減っていく中では船の乗客数も落ち込み、運行会社の収益を悪化させていきます。そこを補うために外から観光客を呼び込むというのも手段の一つなのですが、「外から人がやって来て、静かな暮らしが壊されるのが嫌」・「外からコロナを持ち込まれたくない」などの声は、直接的・間接的によく聞くところです。

コロナ等の影響で大幅に減った船の乗客数と、増えた補助金。笠岡市都市・地域総合交通戦略案 より

かと言って、北木島の経済には「石屋の社長さんたちが長者番付に名を連ねていた」往時の勢いもなく、海底送水管など各種インフラの整備資金は笠岡市街地住民の税負担に支えられています。実際にSさんも「なんで私たちが高い水道料金を払って、島の暮らしを支えなきゃいけないの?」と市街地住まいの方から愚痴を聞かされたことがあるそうで、「誰が幾ら払って島の生活を維持して行くのか」は大きな問題となります。

かつては大勢の現役世代による社会保障負担で高齢者を支えていた
高齢者が増加する中、支える現役世代は減少中。この調子で支えきれるのか?

「金食い虫」な離島エリアを切り捨てるのも一つの手ですが、瀬戸内海の多くの有人島が架橋されている現在、東に倉敷・西に尾道という有名観光地に挟まれた笠岡市にとっては、「船でしか行けない島を有している」というのは貴重な地理的個性でもあり、観光面でのアピールポイントでもあると思うのです。

画像は 岡山観光WEB より

外から移住者としてやって来た身としては、「交流人口を増やすためのきっかけ作りの方法の一つとして、島での観光を利用してほしい」という思いもあります。しかし、主たる仕事は公民館主事として地域に関わる身なので、「静かな暮らしを守りたい」という地元の声も分かるし無視することもできないしで、なかなか落とし所を定めることができないでいます。

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