令和5年1月23日、日本遺産ガイド養成講座の最終日程である現地実習が北木島にて行われたので、主事の友野も受講生として参加してきました。
コース概要
コースとしては、金風呂地区の光劇場から始まり、
・石切の渓谷展望台
・靖国神社残念石
・大丁場跡(水上ステージ)
・千ノ浜護岸景観(北木のベニス)
・北木の桂林
・郵便局旧局舎
・畑中平之丞像
などを巡っていきます。
道中、研修参加者は割り当てられたスポットに到着すると、他の参加者たちをツアー客に見立て「制限時間3分で文化財を紹介する」という実技ミッションを行います。
実習風景
光劇場の紹介は、わたくし友野が行いました。(詳細は後ほど)
2014年にドキュメンタリー作家のYさんが作った作品(島の石材産業の歴史を紹介している)を見て、北木島への理解を深める参加者一行。
石切の渓谷展望台にて、石材会社の社員さんから説明を受ける参加者たち。
各自の高所への耐性はさまざま。落差のある光景を怖がってしまい、長居はできなかった人も。
靖国神社残念石。大鳥居建立用に切り出され、「先に東京に出荷した石材にアクシデントが発生した際に代役となるように」との扱いで浜辺に留め置かれたが、結局使われることのなかった石材です。
長さ12mの堂々たるものですが、船底塗り場に隣接しているため、塗料缶が置かれてだいぶカラフルになっています。文化財らしからぬ扱いを受けているのも、良い意味で北木島らしさを感じられるので、個人的には気に入っています。
千ノ浜の護岸景観(北木のベニス)・丁場湖(北木の桂林)でガイド実習をこなす参加者。
後の振り返りで、「ベニスや桂林など、見立て方と名付けのセンスが独特で面白い」という感想も出ました。
郵便局旧局舎と、設立に尽力した「北木石のスーパーセールスマン」畑中平之丞像。
旧局舎の今後の活用法は、まだ決まっていないそうです。レトロな味わい深い建物なので、外接するATMコーナー部分を取り払えば、何かの撮影のロケ地に使えないかな?
実習を振り返って
先述の通り、僕は光劇場の紹介を担当しました。
主事の仕事の傍ら週末を中心に観光客対応で劇場の紹介は何度もしてきましたので、特に緊張することもなく「いつも通り」で無事に終えることができ、参加者さんたちからの評価シートでも概ね好評でした。場数を踏んできたことは大きい。
ただ、「日本遺産とのつながりを感じられたか」の項目は得点が伸び悩みました。原因としては、「ほぼいつも通りの説明だった」こと。慣れゆえの慢心です。
今までの説明スタイルだと、
・昭和20年代中頃~昭和42年まで稼働していた映画館であること
・島に4軒あった映画館のうち、内装や設備が現存しているのは光劇場だけ
・オーナーさんの意向で設備はそのまま残された
・2014年に行われた「北木ノースデザインプロジェクト」にて劇場が再度注目され、有志によって片付けやスクリーンの張替えが行われ、プロジェクターなど現代機器を使って上映可能な状態まで復活させる
という内容で紹介しています。
僕自身はノースデザインプロジェクトには参加していませんが、件のプロジェクトにガッツリ関わった北木西公民館の前任主事さんから事あるごとに思い出話を聞かされたこともあって、割りと「再発見→再生」のくだりに力点を置いた説明をしています。ただ、それでは日本遺産との関連付けが弱い。
日本遺産「知ってる!?悠久の時が流れる石の島」の構成文化財は、
1.日本の建築文化を支え続ける石
2.石切りの歴史
3.石の産地を支えた海運
4.石と共に生きる 生活文化
のいずれかの要素を満たしている必要があります。
テレビが普及するまでの間、光劇場などで上映される映画は島民(その多くが石材業に従事)にとって貴重な娯楽であり、「上映日が近づくとワクワクした」という思い出話も聞いたことがあります。そこも絡めて「4.石と共に生きる 生活文化」の要素をもう少し充実させる必要があると気付かされました。さっそく次からのガイドに反映させようと思います。
実習に参加された皆さん、お疲れさまでした。
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